「蝉しぐれ」を読む2005年09月24日 20:44


名前と作品だけ知っていたこの作者の本を手に取らないでいた自分の怠慢さを反省する。

読み始めから文章の巧みさ、美しさにぐいぐい引き込まれた。思わず座り直して最初からていねいに読み直す。みがき抜かれた言葉の世界が広がってくる。景色が見えほじれの音も蝉の鳴き声も耳に届くようだ。

時代があり青春がありそこに生きていた人々の息づかいが聞こえる。
極上の読後感に浸った。

実は秋に公開される映画「蝉しぐれ」、出演者に惹かれて前売りチケット購入してあるのだが、原作のある作品がまず読んでから、というのがスタンスなので、手にした本なのであった。

「蝉しぐれ」
藤沢周平 著
 初出 「山形新聞」夕刊 S.61.7.9~S62.4.11
 単行本 S63年5月 刊
文春文庫
1991.7.10 刊