「シャナラの剣」を読む2005年09月25日 20:54


ポスト「指輪物語」との言葉に間違いはない。読みながらどれだけ「指輪物語」を思い浮かべたことか。

正統派ファンタジーである。

ひっそりと暮らす少年の前に謎の魔法使いが現れ世界の危機を救うのは伝説の剣のかつての持ち主であるエルフの血を引くその少年しか残っていないと告げる。彼は兄と共に旅に出る。旅の仲間に出会い、そして・・・・・、と物語は続く。

求めるものは一降りの剣。

旅の仲間は兄(養子先の家族)、友人の王子、わけのありそうな他の国の王子、エルフ兄弟にドワーフ、魔法使い。共に旅を続けちりぢりになりそこでそれぞれの旅がある。各場面を展開しながら最後の大円団。登場人物の個性がはっきりしていてわかりやすい。

それでも「指輪物語」と比較しながら読んでしまうくらい、私にとっては「指輪物語」の方が好ましい。最初にこちらの本を手に取っていたらそのわかりやすさに「シャナラの剣」を第一に思ったか、これは仮定でしかない。

この作品の良さを否定するわけではない。読みながら十分に愉しませてもらった。スピーディーな展開は気持ちいい。仲間と別れた後で主人公のシェイが出会う2人の連れが斬新だった。

異世界ファンタジーが好きなら一度は手にとってみても損はない。この世界のベースにかつて栄え滅んだ物質文明世界が見え隠れするのが、より世界を深めている。

「シャナラの剣」(上・下)
テリー・ブルックス 著
清水ふみ 森野そら 訳
扶桑社
2004.11.20 刊