「小林一茶」 こまつ座2005年09月26日 21:52


9月24日(土) マチネ  紀伊国屋サザンシアター

井上ひさし 作
木村光一 演出

12人の登場人物が31役演じる。

基本の時は文化七年十一月八日の夜、江戸蔵前元鳥越町自身番
この日食い詰めものの俳諧師が捕まった。容疑者の名前は小林一茶。

この一茶のかつてが劇中劇で演じられ、いかに一茶が犯人であるか、と、主張したい面々もいるようだ。が、この劇中劇を通して見えてきた俳諧を志すものの壮絶さ。
小林一茶とその宿敵竹里の生が見えてくる。

戯曲で読んである舞台。ト書き読みながら舞台を想像したりしていた本が板に乗っている。井上ひさしの書いた世界が目の前にあらわれた。さりげない場面転換、早変わり、静の中にひそむ動、しっかり江戸に引き込まれていった。

印象的だったのが1幕最後の渡し船の場面。正面向いて座った何人もが少しずつ体が動きそれがだんだん大きくなり、船の揺れにつれてさらに動き・・・、目で見たことが文章化できない。戯曲を当たるのが一番いい。逆説的に言うならばこの脚本をきっちり表現できるさすが「こまつ座」というべきだろうか。

幕間休憩の時に聞こえてきた会話
「一茶って(舞台で演じられている)あのような人ではありませんよね」
「ですから、この小林一茶は本当の小林一茶ではなくて井上先生書くところの一茶だと思いますよ・・・」
「そうでしょうか・・・」

五・七・五のリズムが心地よい芝居である。俳句をたしなんでいる人が客層としてもおかしくない。井上ひさしの言葉・作品が好きな私が観た印象とは違う思いもあるのは当然か。

客層といえば年輩者多い。若い人の姿がないではないが、過日の「吉原御免状」と平均で20~30歳くらい違いそう。たまたまこの日が特にそうだったのかもしれないが、若い世代にも機会があったらぜひ見てもらいたい(と、子育て期間20年越しのブランク人間が言っても説得力はないけれど)。

セリフかむ場面がはっきりわかるところがいくつかあったのがちょっと残念だった。

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