「我、拗ね者として生涯を閉ず」を読む2005年07月14日 16:34


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「我、拗ね者として生涯を閉ず」
本田 靖春著
講談社 2005.02.21
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 病苦と戦いながら半生を語られた本田さんの遺作。闘病の記録はこの本ではほとんど語られないが、編集部の書き加えた(中断・・・・・)の箇所を目にすると、それを押してまで書き続けたかった本田さんの意志に頭が下がる。
 ノンフィクション作家としての本田さんがまず頭に浮かぶ。本書は、それ以前の読売新聞社会部時代のこと、さらに年少児の朝鮮からの引き上げのことなどが中心となっている。
 彼を彼たらしめていた【小骨】、重いメッセージが伝わってくる。時に話題を現代にふりながら紡がれる言葉は真剣勝負でこちらに向かってくる。

 家を持ったところから日本人の堕落が始まったと語る本田さん、死の最後まで借家住まいを通されていた。それを読みながら師の一人を思いだした。本田さんが書き手であるようにギタさんは生涯編集者であった。やはり借家住まいで、骨を崩さない生き方をされていた。
 自分を振り返り、今を思う。