「竜とイルカたち」を読む2005年07月29日 20:10


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   著者 アン・マキャフリィ
   早川文庫SF 早川書房
   「竜とイルカたち」パーンの竜騎士9
   2005.7.31 刊
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 前巻「竜の挑戦」(上・下)でも触れられていた「言葉を話すイルカ」がいよいよパーンの海に現れる。
 アイヴィスの時代からその後の変換期、現接近期の終わりに向けてのパーン社会の変動を横軸に、南の大陸パラダイス・リバーの少年が縦軸(主人公)となって物語が紡がれる。親の無理解で進むべき道を閉ざされてしまいその後・・・、というのはメノリの物語を思い出させる。
 この少年、メノリと縁が深い。彼女の兄、アレミもパラダイス・リバーにいてメノリも竪琴師の工舎も少年にイルカに関わってくる。南の大陸も微妙に揺れ動いている。
 その中でもう一方の主人公、イルカたち。「イルカの鐘」と呼ばれるものがあり、かつて人間とイルカの交流があったとのプロローグ。すべての群から選ばれたリーダーに与えられる名前が「大ティレク」とは・・・。この「ティレク」から思い起こされるのは、当然・・・なわけで、ぐいぐい話に引き込まれいく。
 やめられなく読み進みながら、残りのページ数の減っていくのを残念がる毎度の繰り返し。
 赤の星が恐れることのなくなりつつあるパーンはアイヴィスの遺産や新たな友たるイルカを得てどう変わったいくのだろう。
 竜とも火蜥蜴ともまた違うイルカたちが可愛い。